パートナーからのDVを理由に離婚するには
DV(家庭内暴力)を受けたので、離婚したいと考えている人はたくさんいるでしょう。
DVを理由にする離婚を説明する前に、民法上の離婚制度について少しお話ししましょう。
民法上の離婚は主に、協議離婚、裁判離婚、調停離婚、審判離婚という4タイプがあります。
協議離婚は、文字どおりに、夫婦間の協議により、離婚することです。この離婚方式の一番大きなメリットは原因を問わないことです。
つまり、夫婦間の合意があれば、離婚できます。たとえば、パートナーからDVを受けて、離婚したいという気持ちをパートナーに言いました。パートナーは「自分もあなたと離婚したい」と応じれば、離婚することが可能になります。
協議離婚は日本で一番よく使われる離婚方法です。
それに対して、夫婦間の一方は離婚したいけれども、もう一方は応じないという場合に、協議離婚は成立しません。協議離婚が成立しない場合には、家事裁判所の力を借りることが必要です。家事裁判所の力を借りるとしても、いきなり裁判離婚に行きません。
その理由としては、家事事件手続法257条により、調停前置主義が置かれているためです。つまり、離婚に対して、自力で合意を達成できない夫婦は、まず調停委員会で調停を受けます。その調停により、合意を達成できれば、夫婦は調停離婚できます。
調停委員会で調停を受けて、双方当事者は離婚してもいいと思いながら、子供の扶養問題や、財産分与問題で合意を達成できないケースがあります。つまり、離婚に対して、一応合意を達成できたが、他のところで揉めていて、結局なかなか離婚できない状態です。
このような状態にいる夫婦は、家裁の審判を受けます(家事事件手続法284条)。家裁は審判で当事者の間の揉め事を解消します。
離婚と関わっている揉め事の解消により、当事者は離婚に対して、合意を達成します。
このような離婚の方式は審判離婚と呼ばれています。
しかし、調停委員会で夫婦間の一方は絶対に離婚したいのに、もう一方は絶対に離婚したくないというケースもあるでしょう。
この場合には、夫婦の間では一応の離婚合意さえ達成することが不可能だと言えます。そのため、絶対に離婚したい方は、裁判離婚によるしかないです。ただ、一定の離婚理由がなければ、裁判離婚を提起することができません。
離婚理由は具体的に、不貞行為、悪意の遺棄、3年以上の生死不明、強度の精神病、継続し難い重大な事由といった五つの事由があります(民法770条1項)。通常、パートナーからのDVは「継続し難い重大な事由」にあたります。
つまり、パートナーからDVを受けている人は裁判離婚を提起できます。
DVは法律上の離婚理由にあたるが、離婚したい人はDVがあった事を証明する必要があります。実際にはDVを受けているが、証拠を提出できない場合に、離婚が認められない可能性があります。証拠の収集の開始は早ければ早いほど良いといえます。
山根法律事務所所は名古屋市にお住まいの皆様からのご相談を承っております。
裁判離婚は協議離婚より、時間と費用がかかるので、DVで悩んでいる方は一回専門家との相談をお勧めします。
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